
この記事は https://aliceevebob.com/2019/07/30/open-source-and-well-bad-people/ を翻訳したものです。
オープンソースのコードを書いている人にとって、オープンソースソフトというものは誠実なものに見えます。 コードを書いて、皆さんのような善人な方がコードを書き足し、テストをし、文書を作成し、ソフトを使うのです。 オープンソースとは、世界をどんなに良くしてくれていることか! 「悪の帝国と呼ばれる組織や会社」ですら、オープンソースを受け入れ、幸福と愛情あふれる場所になり、コミュニティを支援し、オープンソースは良いものとして採用し布教しているのです。 多くのオープンソースライセンスは、1組織がコードを書き換え、その書き換えたコードをリリースすることなく利益を得ることほぼ不可能なようにできています。 オープンソースの魂はライセンスで、実際に世界を良くしているのです。 この大部分には賛成します。 が、世間で鵜呑みにされたような憶測(それが何であれ)が広まっているのを見ると、不思議に思います。 というのも、オープンソースを使っている全ての人が善人ではないというのは皆さんご存知でしょう。 クラッカー(悪事を行うハッカー)はオープンソースを使います。 薬物の販売人もオープンソースを使っています。 人身売買者もオープンソースを使います。 テロリストだって使っているでしょう。 彼らももしかしたらパッチやテスト、文書作成に貢献しているかもしれません。実際はほとんどないと思いますが。でも一般的に彼らは善人ではないのです。 中には「まあ、中には少しはそういう人もいるかもしれないけど、耐えられる範囲だろう」と肩をすくめてしまうような人もいるでしょう。オープンソースで悪事を働く人に比べたらもっと多くの人がオープンソースによって助かっているでしょうから、引き続き喜んで貢献するでしょうね。 あるいは、オープンソースに貢献するのではなく、どうせ人のためにならないのだから、悪人度合いが低い方を受け入れてしまう、というところでしょうか。 これは実際に有効なことで、 ジョン・スチュアート・ミルの言う功利主義として知られています。(私は哲学者ではないので、非常にざっくりと話していることを了承ください)これはこう説明されることもあります。 「行動は、人類の幸福全体を促進するのにちょうど良く釣り合う」 私もオープンソースが「人類の幸福全体を促進」すればいいと願っています。問題は犯罪者だけが皆さんのオープンソースコードを使うわけではないことです。 実際に「日陰なコト」を行うビジネスもありますし、政府が批判する人間を抑圧することも、警察が市民を監視することもあるでしょう。 これも皆さんコードなのであり、悪事にも使われるのです。 悪事とはなんでしょう。 これは功利主義の哲学に対する反論でよく出ますね。何が良いことで何が悪いことなのかと定義するのは難しいのです。 法を遵守している我々一般の人は、人身売買をするのは悪いことだ、と思います。しかし、中にはグレーゾーンなものもあるのです。 例えばタバコ製造、石油化学の会社、プラスチックの製造業、LGBTQ+の人々を支持しない組織、銃の製造業などです。 意図的に範囲を大きくしています。また、最後の例はあえて選んでいます。 オープンソースの活動を初期に行なっていたのはESRで知られるエリック・レイモンドです。彼は銃を持つ権利をずっと支持しています。彼は公にされている批判をハッカーコミュニティに取り入れ、小銃保持の権利を声に出して支持しています。ESRにとってはこれが「自由」なのです。 彼を批判するつもりはないですが、これは賛成できません。 ただこれで彼が良いと考えているものは私が考えているものと違うことは明確でしょう。 LGBTQ+に関してはとてもリベラルに受け入れていますが、オープンソースのコミュニティにいる人がみんな同じ考えを持っているわけではないでしょう。 オープンソースコミュニティをリベラルだと述べていますが一般論として受け入れられていません。 ハッカーのための辞書として公表されているのですが、平均的なハッカーとは
ふんわりと穏健リベラル。従来の右派左派の政治全体を拒絶するリベラリストの代表を除く。
ジャーゴン・ファイル
保守的に一般化して言うとハッカーはどちらかと言うと反独裁主義者。
つまり従来の保守主義と「極」左派は非常に珍しい。ハッカーは非ハッカーよりも大体
a)攻撃的な非政治主義で
b)特異的もしくは特異な政治アイデアを抱き実際日々そう生きようとしている
少し古いかもしれませんが、この説明は多くのオープンソースコミュニティ内で、コミュニティの一部として意識している人たちが共感するものです。 ただオープンソースのコードの「良い使い方」は「良い組織」が決める、と言うのは、コミュニティとして明らかに賛成できかねます。 もしできたとしても、悪人とされる人々を止められるようなライセンスを作るのは非常に可能性が低いでしょう。
元の記事: https://aliceevebob.com/2019/07/30/open-source-and-well-bad-people/ 2019年7月30日 Mike Bursell
One thought on “オープンソースと悪人と”