プロジェクト手法ではなく…
私は今Enarxプロジェクトに関わっています。とても深く、です。すでにご存知かもしれませんが、これはオープンソースのプロジェクトで、信頼できないホスト上で機密性の高いワークロードの実行を可能にするプロジェクトです。
何年もオープンソースプロジェクトに関わってきましたが、このプロジェクトで初めて私は共同創立者となりました。
私たちは現状、コードや文書を十分用意し、ロゴもステッカーも(これ重要!)用意できている段階です。
プロジェクトはLinux Foundationグループ(Confidential Computing Consortium)に含まれるはずなので、順調です。さらにプロジェクトを加速させるためにも内容に関してもお伝えしていったほうがいいでしょう。はっきりさせておくと、Enarxは商用とエンタープライズアプリケーションになるプロジェクトです。十分には成熟しておらず、まだまだハードルやチャレンジがあるかもしれません。さらに言うと、私たちの歩んできた道は全てのプロジェクトも当てはまらないかもしれませんが、他のプロジェクトやこれからプロジェクトを始めようとする人への指針になればと思っています。
ここまで来るにはたくさんのサポートがあったことをまずお伝えします。
私はOpenSource.comから始めましたが、ここではたくさんのガイドが載っています。それに従っても間違ってしまうこともあるかもしれません。ただ、以下に考慮すべき点を挙げておきます。
1 クリティカルマスを目標に
私は幸いにもRed Hatと言う素晴らしい職場で働いています。ここでは全てのものがオープンソースですし、オープンソースとそのコミュニティを非常に重要だと考えています。そこで「クリティカルマス」企業と言うものを耳にしました。物事を実際に行っていくには十分な人々の関心が必要で、人々が無視できないものとする必要があるということです。共同創立者のNathaniel McCallumと私はプロジェクトに情熱的で、組織内でスポンサーを得ることに時間をかけました。(誰のことだかわかりますよね、皆さんに感謝です!)そしてエンジニア達に「売り込み」をして惹き込み、プロジェクトが止まれなくなるくらいほどにしました。
プロジェクトのいくつかは一人二人の貢献者しか得ることができずもたついてしまいますが、人々の興味を惹きつけるには、どんどん進めてくれる、ある程度の人数を集めることが必須なのです。
2 デモ
人々を巻き込みたければデモをすると良いでしょう。洗練されている必要はなく、しようとしていることが実現可能であること、あなたが成し得たいことを示さなければいけません。初期段階のデモではコマンドラインの出力だけでしょうが、UIプロダクトを提供するのでなければ、それでもいいんです。成し遂げようとすることと情熱、プロジェクトの大切さを伝えることが有益なのです。人は何かを「見たい」「体験したい」ので、形にしてやる気を見せることが近道なのです。
3 ライセンスを選ぶ
コードをオープンソースで作ると、他の人にも貢献してもらいたくなるでしょう。これはあまり重要ではなく、正しいオープンソースのライセンスを選択することが他の人の貢献度を高め、定義された用語の理解を深め、その貢献する人働いている組織とその人たち自身の貢献するハードルを下げるのです。
4 文書作成
開発者文書が最重要だと考えるかもしれません。それなければどうやって人が貢献してコードを書くことができるでしょうか。
初めのうちは必要ないと思っています。小さなプロジェクトではコードが何をするものか、何をさせたいか、何が欠けているかいるか、の説明をすることで何人かの人を巻き込むことができます。
しかしコードが何をするものでどう便利か説明する文書がないのに、どうやってたくさんの人が時間を割いてくれるでしょうか。
文書といっても、ちゃんとしたマーケティング用のものだったり正式なものである必要はなくて、どうしてそれをしなくてはいけないかと皆さんに伝えるものでなければいけません。
これは一番目のポイント、クリティカルマスに注力することにも通じています。文書、ユースケースを示すことで、「ポイント」でプロジェクトが実現したいことに説得力を持たせるのに役立ちます。
私たちはgithubウィキをメインの文書置き場にしていて、作成と同時にアップデートしています。これはもう少し改善できるかと思います。
5 見えるプロジェクト
プロジェクトがちゃんと見える状態でないと見つけてもらえません。私たちのプロジェクトはとてもラッキーで、Confidential Computing Consortiumができた上にそこで見せられるだけのプラットフォームをすぐに作ることができたので、クリティカルマスに届く状態です。
Twitterのアカウントもあり(@enarxproject)このブログとOpensource.comで記事も出しています。Red Hatのhttps://next.redhat.com/にてブログを出す機会にも恵まれ、プレスのインタビューも受けましたし出来るだけカンファレンスでも講演しています。私たちにはこのような良い機会がありましたが、全てのプロジェクトに適切なアプローチではないかもしれません。しかし知ってもらうことで、もっとたくさんの人々に貢献してもらえます。
6 歓迎しましょう
世間に知って頂けたとしましょう。次は何ができるでしょうか。そう、皆さんにプロジェクトに参加したいと思って頂きたいですよね。歓迎してもらえなければその参加数は少なくなって行きます。また上の方で私が何を言ったかに関わらず、しばらくすると技術文書も必要になります。そしてその人たちがあなたと話し合う方法が必要ですね。そうすることで評価されていると感じますから。
私たちの場合、Gitter(https://gitter.im/enarx/)で、毎日のスタンドアップ会議には参加したい人がみんな参加できます。最近ではそ課題データベース(https://github.com/enarx/enarx/issues)をGithubに作成しタコとで、スレッドの会話でタイムゾーンがあることから毎日のスタンドアップ会議の時間が合っていないことが明らかになりました。ので、会議の数を少なくとも週一とする配慮をしたのです。
7 仲の良い人と活動しましょう
私はとてもとてもEnarxプロジェクトチームのみんなと働くことが楽しいです。楽しく過ごし、冗談をかわし、笑って、共通の目標をシェアしています。Enarxの成功のためです。出来るだけ楽しんですること、それが大切だと思います。特にプロジェクトの初期段階では情熱的な人と楽しく仕事できる人が必要です。例えその人が地理的には数千キロ(マイル?)離れた場所にいても、です。そのように参加できなければ情熱もどんどん先細ってくるでしょうし勢いも失われ、プロジェクトは失敗に終わるでしょう。一緒に活動する人は選べるわけではないでしょうが、できればあなたの仲が良い人を選びましょう。
結論:「人」です。
この記事を書き始めるまでは気づきませんでしたが、全くプロジェクト手法が問題ではないのです。
人、です。
読み返せばどのアドバイスにも人の大切さが述べてあり、ライセンスの選び方にも、です。オープンソースプロジェクトとはコードではないのです。人なのです。どのようにシェアし、一緒に活動し交流するかなのです。
オープンソースプロジェクトはそれぞれ異なるものでしょうから、この7つのアドバイスが全て当てはまることはないでしょう。間違いなくEnarxはまだ成功と言い切れるものではありませんので、今の段階でこのようなアドバイスをすべきでないのかもしれません。しかし成功してきた今までのオープンソースプロジェクトを思い起こすと、やはり人と言うものはとても大切なのです。
元の記事:https://aliceevebob.com/2019/12/17/7-tips-for-kicking-off-an-open-source-project/
2019年12月7日 Mike Bursell
タグ:オープンソース
2 thoughts on “オープンソースプロジェクトを始める7つのアドバイス”