この記事は https://aliceevebob.com/2019/12/03/confidential-computing-the-new-https/ を翻訳したものです。
ここ数年、「http://…”」のようなウェブサイトはなくなってきました。これはやっと業界がウェブサイトにセキュリティが「ある」ことに気付いたからです。と同時にサーバーとクライアントどちらともHTTPS通信の設定をすることが容易になったからです。 同じような動きがクラウド、エッジ、IoT、ブロックチェーン、AI/MLなどのコンピューティングにも現れることでしょう。 ストレージ内に保存するデータやネットワークで転送されるデータはは暗号化すべきである、とは認識されていました。けれどプロセスしている間使用されているデータを暗号化するのは難しく、高価でした。 Trusted Execution Environment (TEE)などのハードウェアを使って、使用中のデータやアルゴリズムを保護します。コンフィデンシャルコンピューティングは、ホストシステムや攻撃されやすい環境のデータを保護するのです。 TEE とEnarx Project(Nathaniel McCallumと共同創立しているプロジェクトです、参考: Enarx for everyone (a quest) and Enarx goes multi-platform )に付いては何度かブログに投稿しています。 EnarxはTEEを使っていて、Enarkでプラットフォームや使用言語に依存せず、機密性が必要なアプリケーションやマイクロサービスなどのコンポーネントを安全に信頼できないホストにデプロイすることができます。 Enarxはもちろん完全にオープンソースで(Apache2.0のライセンス使用)です。 ワークロードを信頼できないホストで稼働させるのはコンフィデンシャルコンピューティングが保証するところです。これからは下記のような場合の機密性があるデータにコンフィデンシャルコンピューティングが普通に使われるようになるでしょう。: ストレージ:ストレージインフラを完全に信用できないので、保存したデータは暗号化したい ネットワーク:ネットワークインフラを完全に信用できないので、転送中のデータを暗号化したい コンピューティング:コンピューティングインフラを信用できないので、使用中のデータを暗号化したい 信頼信用に関してはもっと言いたいことはあるのですが「完全に」という言葉が大切です。(これは推敲の最中に書き足しました。) パケットを送ったりやブロックを保存したりするかどうか、上記のどのケースでもCPUやファームウェアなど、インフラをある程度信頼しなくてはいけません。というのも、それらを信頼できなければコンピューティングなんてできません。 (準同型暗号という技術があり提供されつつありますが、まだ限定的で技術も未完成です) CPU周りで見つかる脆弱性があると、CPUを完全に信頼するかどうか、また乗っているホストの物理攻撃に完全に安全がどうか、というのは何度も出てくる疑問です。 どちらの疑問にも、「いいえ」と答えられますね。しかし拡張性とデプロイの費用の問題から現状ではベストな技術でしょう。 二番目の疑問については、誰も(もしくは他の技術)完全に安全だと偽装できないということです。私たちがすべきなのはthreat model を考慮し、この場合ではTEEが特定の要件に対して十分なセキュリティを提供できるかどうか決定する、ということです。 一つ目の疑問に関してはEnarxの当てはまるモデルは、特定のCPUセットを信頼するかどうかデプロイメントの際に全て決め打ちする、ということでしょう。 例えばQというベンダのR世代のチップに脆弱性が見つかったとしましょう。「ワークロードをQから出ているR世代のCPUにはデプロイさせず、Q社のSタイプ、Tタイプ、Uタイプのチップと、P社、M社、N社のCPUにはデプロイOKとする」と宣言できれば簡単ですね。 コンフィデンシャルコンピューティングが注目されていますが、そこに適応させるには3つの変化のステージがあると考えています。 1 ハードウェアの稼働性: TEEがサポートされているハードウェアが手に入るようになったのはここ半年から一年の間です。IntelのSGXやAMDのSEVなど市場で鍵となる製品が出てきだことからもわかります。 これからもTEEが使えるハードウェアの製品が出てくると予想されます。 2 業界の受け入れ状態: アプリケーションのデプロイメントとしてクラウドが急激に受け入れられているのに合わせて法規制や整備は扱うデータを保護するよう、組織や団体に対して要求を増やしてきています。 組織や団体は、信頼性のないホストでの機密性の高いアプリケーション(もしくは機密データを扱うアプリ)の稼働方法にざわざわしてきています。正確には、彼らが完全に信用できないホスト上で、のアプリに関してですね。 これは別に驚くことではないのです。もしマーケットが投資に値するものではなければ、チップベンダーはこの技術に投資しないでしょう。 Linux FoundationのConfidential Computing Consortium (CCC)の体制は、どれくらい業界がコンフィデンシャルコンピューティングの共通使用モデルを見つけようとしているか、オープンソースプロジェクトにこのような技術採用を勧めているか、の別のよい例ですね。 その一つがRed Hatが始めたEnarxはCCCのプロジェクトです。 3 オープンソース: ブロックチェーンのように、コンフィデンシャルコンピューティングはオープンソースを使うことがとても簡単な技術の一つです。 機密性の高いアプリケーションを動かす場合、動いているもの自体を信用しなくてはいけません。CPUやファームウェアのようなものではなく、TEEの中でワークロードの実際の実行を手伝うフレームワークのことです。 良い言い回しがあります。 「私はホストマシーンとソフトウェアスタックが信用できないからTEEを使うんだ」 しかしTEEのソフトウェア環境に可視性がなければ、ただソフトウェアを別の不可視性の高い環境に移しただけです。 TEEのオープンソースによって、あなたやコミュニティ5トはプロプライエタリのベンダー仕様ソフトウェアにはできないチェックと監査ができるようになるのです。 このようにCCCはオープンな開発モデルをであるLinux Foundationに属しているのであり、TEEに関するソフトウェアプロジェクトにCCCに参加するよう、またオープンソースにするように推進しているのです。 このハードウェアの可動性、業界の受け入れとオープンソースの三つがここ15から20年の技術の変革を促進するものだと考えます。 ブロックチェーン、AI、クラウドコンピューティング、ウェブスケールコンピューティング、ビッグデータ、インターネット販売は全てこの三つが合わさって、今までになかった変革を業界にもたらしたのです。 デフォルトのセキュリティはここ何十年か必要だと訴えられているものですが、まだ達成されていません。正直なところ、それが本当に実現するかはわかりません。 しかし新しい技術が実現することで、業界で、特定のユースケースにセキュリティが浸透することがもっと実用的になり、そこに期待も集まるでしょう。 コンフィデンシャルコンピューティングは次の新しい変革を迎えようとしています。 そして読者の皆さんがその革命に参加する日が来るでしょう。オープンソースなのですから。
元の記事:https://aliceevebob.com/2019/12/03/confidential-computing-the-new-https/ 2019年12月3日 Mike Bursell